¥社会保険・給付金の計算ツール集ガイド

労災 休業(補償)等給付 計算ツール

入力するとリアルタイムで計算されます(概算)

適用するレート(最低保障額・年齢階層別限度額)の判定に使います

災害区分

業務上の負傷・疾病は「休業補償給付」が適用されます

給付基礎日額の決め方

円

給与明細の総支給額合計(交通費・残業代込み)。賞与・臨時手当は除く

日

3か月分の合計暦日数(通常89〜92日)

日

待期3日は支給対象外。4日目以降の暦日数から計算されます

上級者向け:療養開始から1年6か月以上経過している

療養開始後1年6か月を経過していない場合は最低保障額(4,350円)のみ適用

休業(補償)等給付とは

労働者災害補償保険(労災保険)の「休業(補償)等給付」は、業務上または通勤による負傷・疾病の療養のために働けず、賃金が支払われない日が生じたときに支給される給付です。

災害の種別によって名称が異なります。

  • 休業補償給付(業務災害):業務上の負傷・疾病による休業
  • 休業給付(通勤災害):通勤途中の負傷・疾病による休業
  • 複数事業労働者休業給付(複数業務要因災害):複数の事業場にまたがる要因による疾病等の休業

この保険給付に加え、社会復帰促進等事業の一環として「休業特別支給金」が上乗せ支給されます。保険給付(給付基礎日額の60%)と特別支給金(同20%)を合わせると、給付基礎日額の80%相当が支給される仕組みです。

支給対象者・受給要件

次の3つの要件をすべて満たし、かつ待期3日が完成した後の休業4日目以降が支給の対象となります。

  1. 業務上または通勤による負傷・疾病の療養のためであること
  2. 労働することができないこと(労働不能)
  3. 賃金を受けていないこと(無給)
正社員・パート・アルバイト・派遣労働者など、雇用形態を問わず労災保険が適用される事業場で働く全ての労働者が対象です。

※ 本ツールは受給要件(療養の事実・労働不能・無給)を自動判定しません。要件の充足については、所轄の労働基準監督署にご確認ください。

支給額の決まり方

支給額の基準となる「給付基礎日額」は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額です。算定事由発生日(賃金締切日があれば直前の締切日)以前3か月間に支払われた賃金の総額(賞与・臨時手当を除く)を、その期間の暦日数で割った額(1円未満切り上げ)になります。

給付基礎日額(W)= 3か月の賃金総額 ÷ 暦日数(端数切り上げ)
休業(補償)等給付(1日)= W × 60%(1円未満切り捨て)
休業特別支給金(1日)= W × 20%(1円未満切り捨て)
合計(1日)= W × 80%相当

給付基礎日額には最低保障額(自動変更対象額)が設定されており、算定額がこれを下回る場合は最低保障額が適用されます。現行(2026年8月1日〜)の最低保障額は4,350円です。

療養開始後1年6か月を経過した後の給付基礎日額には、基準日の年齢に応じた年齢階層別の最低・最高限度額が追加で適用されます。1年6か月未満の期間は年齢階層別限度額は適用されず、最低保障額のみ下限として機能します。

計算例(公式アンカー: Q&A 3-5)

月給20万円・賃金締切日が月末・10月に事故が発生したケース(出典:厚労省 Q&A 3-5)。

直近3か月の賃金総額 = 200,000円×3か月 = 600,000円
暦日数(7・8・9月)= 92日
給付基礎日額 W = 600,000 ÷ 92 → 6,522円(1円未満切り上げ)
保険給付(1日)= 6,522 × 0.6 → 3,913円(1円未満切り捨て)
特別支給金(1日)= 6,522 × 0.2 → 1,304円(1円未満切り捨て)
合計(1日)= 5,217円

※ 端数処理(給付基礎日額は切り上げ・給付額は切り捨て)に注意してください。

年齢階層別の最低・最高限度額(2026年8月1日〜)

療養開始後1年6か月を経過した後は、基準日の年齢に応じた最低・最高限度額で給付基礎日額がクランプされます。現行の限度額は次のとおりです。

年齢区分最低限度額最高限度額
19歳以下5,682円14,450円
20〜24歳6,221円14,450円
25〜29歳6,852円16,486円
30〜34歳7,146円20,499円
35〜39歳7,420円22,399円
40〜44歳7,727円24,827円
45〜49歳7,833円25,746円
50〜54歳7,778円26,264円
55〜59歳7,467円27,053円
60〜64歳6,509円23,364円
65〜69歳4,350円17,709円
70歳以上4,350円14,450円

出典:告示第208号、別紙 年齢階層別限度額(2026saiteisaikou.pdf)

支給されないケース・減額になる場合

待期3日(不支給期間)

休業1日目〜3日目は待期期間として労災から支給されません。業務災害の場合、事業主は労働基準法に基づき平均賃金の60%を補償する義務があります(通勤災害は事業主の補償義務なし)。

部分算定日(一部労働した日)

所定労働時間の一部だけ労働した日は、給付基礎日額から実働分の賃金を差し引いた残額の60%(保険給付)+20%(特別支給金)が支給されます。本ツールは全日休業を前提とした概算のため、部分算定日は別途計算が必要です。

症状固定後(治ゆ)

療養が終了(症状固定)した後は休業(補償)等給付の対象外となります。症状が残る場合は障害(補償)等給付への移行を検討します。

通勤災害の一部負担金

通勤災害による休業給付の初回請求時は、休業(補償)等給付から一部負担金200円(日雇特例は100円)が控除されます。特別支給金には控除はありません。

スライド制(改定の仕組み)

労災の給付基礎日額は、賃金水準の変動に応じて改定される「スライド制」が設けられています。四半期ごとの平均給与額が±10%を超えて変動した場合、給付基礎日額が改定されます(四半期スライド)。

また、最低保障額(自動変更対象額)および年齢階層別の最低・最高限度額は毎年8月1日に改定されます(年次改定)。本ツールに入力している令和8年8月1日〜令和9年7月31日の適用値は厚労省告示に基づいています。

申請と振込

休業(補償)等給付は次の書類を所轄の労働基準監督署に提出して申請します。

  • 業務災害:「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」に事業主の証明を受けて提出
  • 通勤災害:「休業給付支給請求書(様式第16号の6)」に事業主の証明を受けて提出

事業主が証明を拒む場合でも、その旨を付記して労働者本人が直接監督署へ請求することができます。請求権の時効は原則2年です。

よくある質問(FAQ)

Q. 休業補償はいつからもらえますか?

A. 業務上または通勤による負傷・疾病で仕事を休んだ場合、最初の3日間(待期期間)は支給されません。4日目以降から労災の休業(補償)等給付の対象となります。業務災害では待期3日間について事業主が平均賃金の60%を補償する義務があります。

Q. パート・アルバイトでも対象になりますか?

A. はい。雇用形態(正社員・パート・アルバイト・派遣など)を問わず、労災保険が適用される事業場で働く労働者であれば対象です。業務上または通勤による負傷・疾病で要件を満たせば受給できます。

Q. 健康保険の傷病手当金と両方もらえますか?

A. 業務上・通勤上の負傷・疾病は労災保険が優先されるため、健康保険の傷病手当金と重複して受給することはできません。業務外の私傷病が対象の傷病手当金とは制度が異なります。

Q. 会社が申請手続きをしてくれない場合はどうすればよいですか?

A. 請求書の事業主証明欄に証明を拒まれた場合でも、その旨を付記して労働者本人が直接、所轄の労働基準監督署に請求することができます。監督署が事業主への確認等を行います。

出典・参考

  • 厚生労働省「労災年金給付等に係るスライド率等について(rousainenkin-slideinfo)」・告示第207号・第208号・別紙 年齢階層別限度額(2026saiteisaikou.pdf)
  • 厚生労働省 労災保険Q&A「3-5 休業(補償)等給付の計算方法」 (厚生労働省 労災保険のページ)
  • 厚生労働省「労働者災害補償保険法施行規則」別表第1・別表第2

免責事項

本ページおよびツールは、制度の概要を分かりやすく解説し、支給見込み額の概算を提供することを目的とした情報提供です。実際の支給可否・支給額は、療養の事実・労働不能・無給といった個別要件の充足状況や、申請時点の適用レートなどによって異なります。正確な判断と確定金額については、所轄の労働基準監督署にご確認ください。