¥社会保険・給付金の計算ツール集ガイド

退職・離職後にもらえるお金——雇用保険の給付まとめ

会社を辞めたとき、すぐに次の仕事が見つからない期間の生活を支える仕組みが雇用保険には用意されています。また、在職中に病気やケガで休んでいた場合は、退職後も健康保険からの給付を継続受給できるケースがあります。本記事では、退職・離職後に受け取れる主な給付金の全体像を整理し、対象者・どの保険から支給されるか・申請先・受給の流れを解説します。具体的な支給額の計算は各給付の計算ツールをご利用ください。

本記事は2026年6月時点の制度にもとづき、厚生労働省・ハローワーク・全国健康保険協会(協会けんぽ)などの一次資料で確認して作成しています。毎年改定される上限額などの最新の金額は、各計算ツールでご確認ください。

あなたはどの給付?——離職後の状況で選ぶ
会社を退職・離職した
↓ 状況で使える給付が変わる

65歳以上で離職して求職中

高年齢求職者給付金(一時金・老齢年金と併給可)

64歳以下で求職中

基本手当(いわゆる失業給付)

早く再就職が決まった

就業促進手当(再就職手当など)

専門実践教育訓練を受講(離職中)

教育訓練支援給付金(時限措置・受講中の生活費支援)

退職後も病気・ケガで働けない

健康保険の傷病手当金(資格喪失後の継続給付の要件を満たす場合)

給付の全体像——状況別に見る

退職・離職後に関係する主な給付を、状況別にまとめると次のようになります。

状況給付名根拠保険
求職中(64歳以下)基本手当雇用保険
求職中(65歳以上)高年齢求職者給付金雇用保険
基本手当受給中に早期再就職就業促進手当(再就職手当等)雇用保険
専門実践教育訓練を受講中(離職者)教育訓練支援給付金雇用保険
退職前から療養中・労務不能が続く場合傷病手当金の継続給付健康保険

雇用保険の給付を受けるには、原則として雇用保険の被保険者(週20時間以上勤務・31日以上の雇用見込みが要件)として一定期間加入していたことが必要です。申請はすべてハローワークが窓口です。

求職者給付の中心——基本手当の仕組み

雇用保険の失業等給付のうち、求職者給付の中心となるのが「基本手当」です。離職して求職活動をしている期間中の生活を支えるための給付で、64歳以下の方が対象です(65歳以上は後述の「高年齢求職者給付金」)。

受給要件

被保険者期間:離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上(会社都合・倒産解雇など特定受給資格者・特定理由離職者の場合は離職前1年間に6ヶ月以上)

状態:就職しようとする意思と能力があり、積極的に求職活動をしているにもかかわらず、就職できていない状態(「失業」の状態)

申請先:住所地を管轄するハローワーク

非課税:はい(雇用保険の失業等給付は所得税・住民税非課税)

受給までの流れ

  1. ハローワークで求職申込・離職票の提出——退職後、できるだけ早めに手続きを行います。離職票は退職後に勤務先から交付されます。
  2. 受給資格の決定——書類審査のうえ、離職理由(自己都合・会社都合等)が確認されます。
  3. 待期期間(7日間)——受給資格決定日から7日間は受給できない待期期間があります。
  4. 給付制限期間——自己都合退職は原則1ヶ月の給付制限(待期期間終了後から)があります(2025年4月の改正で2ヶ月から短縮)。ただし離職前5年以内に3回以上の自己都合離職がある場合は3ヶ月。離職期間中または離職前1年以内に対象の教育訓練等を受講した場合は給付制限が解除されます。特定受給資格者(会社都合など)は給付制限なし。
  5. 失業認定(4週間ごと)——認定日ごとに求職活動の実績を報告し、失業の認定を受けます。
  6. 基本手当の支給——認定された日数分が指定の口座に振り込まれます。

給付日数と受給期間について

所定給付日数(もらえる日数の上限)は、離職理由・年齢・雇用保険の被保険者期間によって異なります。自己都合より会社都合(特定受給資格者)の方が多く設定されています。具体的な日数はハローワークにお問い合わせください。

受給期間は、原則として離職翌日から1年間です。この期間内に受給を完了させる必要があります。病気・けがなどでやむを得ず求職活動ができない期間がある場合は受給期間の延長申請ができます。

65歳以上で離職したとき——高年齢求職者給付金

65歳以上の雇用保険被保険者(高年齢被保険者)が離職した場合、基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」が支給されます。基本手当と異なり一時金として支給されるため、離職後に求職活動を続けながら老齢年金と同時に受け取ることができます。

対象者:65歳以上の雇用保険被保険者(高年齢被保険者)が離職し、失業の状態にある場合。離職前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上必要

支給形式:一時金(基本手当日額の30〜50日分。被保険者期間によって異なる。具体的な日数・日額は計算ツールで確認)

年金との関係:老齢年金との同時受給が可能(基本手当は年金が一部停止される場合がある)

申請先:住所地を管轄するハローワーク

非課税:はい

高年齢求職者給付金を計算する →

早期に再就職したとき——就業促進手当

基本手当の受給中に、所定給付日数を残した状態で再就職が決まった場合など、早期の就業を支援するための給付が「就業促進手当」です。主な種類として再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当があります(就業手当は2025年3月末で廃止)。

再就職手当(最も利用されるもの)

基本手当の受給中に、残日数が所定給付日数の1/3以上ある状態で、1年以上雇用される見込みのある安定した就職(雇用保険の被保険者となる職)に就いた場合に支給されます。早く再就職するほど残日数が多くなるため、受け取れる金額が多くなる仕組みです。

主な要件:就職日前日時点で残日数が所定給付日数の1/3以上、待期・給付制限中の就職でないこと、離職した事業主への再就職でないことなど

申請先・タイミング:ハローワーク。就業日の前日までに申し出るか、就職後に申請。支給申請書は就業日の翌日から1ヶ月以内

非課税:はい

その他の就業促進手当

  • 就業促進定着手当:再就職手当を受給した後、再就職先に6ヶ月以上継続して雇用され、かつその期間の賃金が離職前の賃金を下回った場合に、低下分を補填する給付です。具体的な給付率・上限額は計算ツールでご確認ください。
  • 常用就職支度手当:障害などにより就職が困難な方が一定の条件で安定した就職をした場合に支給されます。
就業促進手当を計算する →

離職中に学び直しをするとき——教育訓練支援給付金

離職中に専門実践教育訓練を受講する場合、受講期間中の生活費を支援するための給付が「教育訓練支援給付金」です。時限的な措置として設けられており、受講中に基本手当を受給していないことが要件です。

対象者:専門実践教育訓練の受講を開始した日時点で45歳未満の離職者(雇用保険の被保険者でない方)で、一定の要件を満たす場合

支給期間:専門実践教育訓練の受講中、2ヶ月ごとに支給(受講終了まで。通算最大で訓練の最大受講可能期間)

基本手当との関係:基本手当の支給を受けていない期間が対象。基本手当と同時受給はできない

申請先:住所地を管轄するハローワーク(訓練実施機関経由の場合もある)

非課税:はい

専門実践教育訓練は、厚生労働大臣が指定した訓練コース(看護師・社会福祉士・ITエンジニア関連など)が対象です。訓練の受講費用については別途「教育訓練給付金」の対象になります。詳細はハローワークまたは各コースの実施機関にご確認ください。

教育訓練支援給付金を計算する →

療養中に退職したとき——傷病手当金の継続給付(健康保険)

在職中に病気やケガで働けない状態が続き、傷病手当金を受給していた(または受給できる状態にあった)場合、退職後も一定の要件を満たせば健康保険から継続して給付を受け取ることができます。これを「資格喪失後の継続給付」といいます。

主な要件:①退職日時点で健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること、②退職日に傷病手当金を受給中または受給できる状態(労務不能の状態)にあること、③退職後に就労していないこと

支給期間:支給開始日から通算1年6ヶ月が上限(退職後の継続給付もこの期間内でのみ受給できる)

申請先:退職前に加入していた健康保険(協会けんぽまたは健康保険組合)に直接申請(任意継続被保険者への加入は不要)

基本手当との関係:傷病手当金の継続給付を受けている期間は、働ける状態になっていないため、基本手当とは同時に受給できない。求職活動ができる状態に回復した後にハローワークで手続きを行う

非課税:はい

退職時に健康保険の資格を失ったとき、療養中の方はしばらく就職が難しい状態が続く場合があります。傷病手当金の継続給付は、そのような状況での所得補償として機能します。支給額は在職中の傷病手当金と同一の計算式で算出されます。

傷病手当金を計算する →

試算例:基本手当日額6,000円の場合(概算)

基本手当日額(失業給付の1日あたりの額。賃金日額から計算され、受給資格者証に記載されます)が6,000円のケースで、代表的な給付を試算します。

  1. 高年齢求職者給付金(65歳以上・被保険者期間1年以上=給付日数50日):6,000円 × 50日 = 300,000円(一時金として一括)
  2. 再就職手当(所定給付日数を2/3以上残して再就職=給付率70%・支給残日数60日の場合):6,000円 × 60日 × 70% = 252,000円

※ 基本手当日額には年齢区分ごとの上限・下限があり、就業促進手当には別途上限が設けられています。正確な基本手当日額や自分の数字での試算は各計算ツールをご利用ください。

間違えやすいポイント

退職・離職後の給付は状況で変わるため、誤解されやすい点を整理します。

誤解① 65歳以上で離職すると失業給付はもらえない
正しくは:65歳以上は「基本手当」ではなく「高年齢求職者給付金」(一時金)の対象です。さらに老齢年金と併給できる点が、64歳以下の基本手当(特別支給の老齢厚生年金が止まる)と大きく異なります。
誤解② 自己都合退職は2〜3か月待たないと1円ももらえない
正しくは:2025年4月以降、自己都合退職の給付制限は原則1か月に短縮されました(以前は2か月)。待期7日+給付制限1か月のあとに支給が始まります(会社都合は待期7日のみ)。
誤解③ 早く再就職すると失業給付の残りは捨てることになる
正しくは:所定給付日数を一定以上残して再就職すると「再就職手当」がもらえます(残日数2/3以上で70%、1/3以上で60%)。早期再就職は損になりません。
誤解④ 失業給付(基本手当)と高年齢求職者給付金は好きな方を選べる
正しくは:離職時の年齢で自動的に決まります。65歳になる前の離職は基本手当、65歳以後の離職は高年齢求職者給付金で、選択制ではありません。

よくある質問

Q. 自己都合退職と会社都合退職で、基本手当の受け取りに違いはありますか?
A. はい、大きく異なります。①給付制限(待期7日後さらに受給できない期間):自己都合退職は原則1ヶ月の給付制限があります(2025年4月の改正で2ヶ月から短縮)。ただし離職前5年以内に3回以上の自己都合離職がある場合は3ヶ月。また、離職期間中または離職前1年以内に対象の教育訓練等を受講した場合は給付制限が解除され、待期7日後から受給できます。会社の倒産・解雇など「特定受給資格者」は給付制限なし。②所定給付日数:特定受給資格者は自己都合より多くの日数が設定されています。詳細な日数は年齢・被保険者期間によって異なるため、ハローワークにご確認ください。
Q. 離職後、すぐに基本手当は受け取れますか?
A. すぐには受け取れません。ハローワークで求職申込をして受給資格が決定した後、まず7日間の待期期間があります。自己都合退職の場合はさらに給付制限期間(原則1ヶ月。2025年4月の改正で短縮)が加わります。また、4週間ごとの失業認定日に求職活動の実績が確認されます。受給期間(離職翌日から原則1年以内)の終わりまでに受給を完了させる必要があるため、できるだけ早めにハローワークへ手続きに行くことをお勧めします。
Q. 傷病手当金は退職後ももらえますか?
A. 一定の要件を満たす場合、退職後も健康保険の「資格喪失後の継続給付」として受け取ることができます。主な要件は①退職日時点で健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること、②退職日に傷病手当金を受給中または受給できる状態(労務不能の状態)にあること、③退職後に就労していないこと、です。支給期間は支給開始日から通算1年6ヶ月が上限です。任意継続被保険者としての加入は不要です。
Q. 早く再就職したら、基本手当の残り分はどうなりますか?
A. 基本手当の残日数が所定給付日数の1/3以上ある状態で、安定した就職(雇用見込みが1年以上など一定の要件あり)をした場合、残日数に応じた「再就職手当」(就業促進手当の一種)を受け取れる可能性があります。就業日の前日までにハローワークへ申し出ることが必要です。なお、再就職先の賃金や残日数の多さによって受け取れる金額が変わります。計算ツールで目安を確認してください。

出典・参照情報

本記事は以下の公式情報をもとに作成しています。法改正により制度内容が変わる場合があります。最新情報は各機関の公式ページでご確認ください。

  • 厚生労働省「雇用保険の基本手当について(求職者給付)」
  • 厚生労働省・ハローワーク「雇用保険の失業等給付を受給される方へ」
  • 厚生労働省「高年齢求職者給付金について」
  • 厚生労働省「就業促進手当(再就職手当)について」
  • 厚生労働省「教育訓練支援給付金について」
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)「退職後の継続給付(病気やケガで休んでいた方へ)」
  • 雇用保険法(昭和49年法律第116号)

免責事項

本記事は各制度の一般的な概要を説明することを目的とした参考情報です。個別の受給可否・支給額・給付日数を保証するものではありません。実際の支給はハローワーク・加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)などの審査により決定されます。最終的な確認は公式窓口でお願いします。制度は法改正により変更されることがあります。