学び直し・スキルアップで使える給付まとめ——教育訓練3給付の全体像ガイド
雇用保険には、資格取得や学び直しを後押しする給付が複数あります。大きく分けると「受講費用そのものを補助する給付」と「学んでいる間の生活費を支援する給付」の2系統があり、在職中か離職中かによって使える給付が異なります。本記事では、教育訓練給付金・教育訓練休暇給付金・教育訓練支援給付金の3つの給付を横断的に整理し、それぞれの位置づけと対象者のポイントを解説します。具体的な支給額は各計算ツールでご確認ください。
まず整理——「費用の補助」と「生活費の支援」の2系統
3つの給付は名前が似ていますが、支援する内容がまったく異なります。「何を補助するか」と「在職・離職どちらが対象か」で整理すると、どれが自分に関係するかがはっきりします。
| 給付名 | 何を支援 | 対象 | 根拠保険 |
|---|---|---|---|
| 教育訓練給付金 | 受講費用の補助 | 在職者・離職後1年以内 | 雇用保険 |
| 教育訓練休暇給付金 | 学んでいる間の生活費(在職中) | 在職者(無給の教育訓練休暇取得中) | 雇用保険 |
| 教育訓練支援給付金 | 学んでいる間の生活費(離職中) | 離職者(専門実践教育訓練受講中) | 雇用保険 |
3給付はすべて雇用保険から支給されます。教育訓練給付金は在職・離職を問わず受講費用を補助し、残る2給付は「在職中か離職中か」で使い分ける生活費支援です。
受講費用を補助する——教育訓練給付金
厚生労働大臣が指定した教育訓練講座の入学料・受講料の一定割合を補助する給付です。在職者でも離職者でも利用でき、スキルアップ・転職・再就職の費用負担を軽減することを目的としています。
3つの区分と対象講座
講座は3区分に分かれており、区分によって給付率・上限額・被保険者期間の要件が異なります。
一般教育訓練給付金
語学・パソコン・簿記など比較的幅広い講座が対象。被保険者期間が3年(初めての受給は1年)以上の人が対象。
特定一般教育訓練給付金
業務独占資格・名称独占資格の取得など速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する講座が対象。被保険者期間が3年(初回は1年)以上の人が対象。
専門実践教育訓練給付金
看護師・介護福祉士などの職業実践力を培う専門的な講座が対象。被保険者期間が3年(初回は2年)以上の人が対象。受講中・修了後の追加給付(資格取得・就職時)がある。
対象者と申請先
在職者:雇用保険の被保険者で、区分ごとの被保険者期間を満たす人
離職者:被保険者資格を喪失した日(離職日)から1年以内(妊娠・出産・育児・疾病・負傷など一定事由で受講開始が遅れた場合は最大20年以内)で、区分ごとの被保険者期間を満たす人
申請先:ハローワーク(受講前にキャリアコンサルティングが必要な区分あり)
非課税:はい
在職中に無給で学ぶ間の生活費——教育訓練休暇給付金(2025年10月創設)
2025年10月1日に創設された比較的新しい給付です。在職したまま就業規則・労働協約等の制度に基づく無給の「教育訓練休暇」を取得して学ぶ場合に、休暇中の生活費を支援します。退職せずに長期の学びを実現しやすくするための制度です。
対象者と主な要件
対象者:雇用保険の被保険者(在職者)で、雇用保険の被保険者期間が5年以上ある人
休暇の種類:事業主の就業規則・労働協約等の制度に基づく無給の教育訓練休暇であること
休暇の最低期間:連続30日以上の取得が必要
給付日数:被保険者期間に応じた日数(雇用保険の基本手当と同じ算定方式)
申請先:ハローワーク
非課税:はい
給付額のしくみ
給付額は基本手当(失業給付)と同じ算定方式で計算されます。直近の賃金をもとに算出した賃金日額に給付率を掛けた額が1日分の給付額となり、年齢によるスライドもあります。具体的な給付率・賃金日額の上限額は毎年改定の対象のため、最新の金額は計算ツールでご確認ください。
離職中に専門実践を学ぶ間の生活費——教育訓練支援給付金(時限措置)
離職した人が専門実践教育訓練を受講している間の生活費を支援する給付です。一定の年齢要件と時限措置があり、早めの活用が必要な給付です。
対象者と主な要件
対象者:受講開始時点で45歳未満の離職者(受給資格を持ち、専門実践教育訓練給付金の受給資格がある人)
受講する訓練:専門実践教育訓練(教育訓練給付金の専門実践区分に指定された講座)
基本手当との関係:受講中に基本手当を受給していないこと(同時受給不可)
時限措置:受講開始日が2027年3月31日以前であること
回数制限:人生1回限り(受給歴があると対象外)
申請先:ハローワーク
非課税:はい
給付額のしくみと注意点
給付額は基本手当日額をもとに算定されます(受講開始日時点の賃金日額基準)。具体的な給付率は毎年見直しの対象となるため、最新の金額は計算ツールでご確認ください。基本手当を受給している期間とは重ならないため、受給パターンについてはハローワークに事前に相談することをお勧めします。
3給付の関係を整理する——どれが自分に当てはまるか
「費用の補助」か「生活費の支援」か、そして「在職中」か「離職中」かで、使える給付が変わります。
在職中に学ぶ場合
- 受講費用の補助 → 教育訓練給付金(被保険者期間など要件あり)
- 無給の教育訓練休暇(連続30日以上)を取るなら、休暇中の生活費 → 教育訓練休暇給付金(被保険者期間5年以上など要件あり)
離職中に学ぶ場合
- 受講費用の補助 → 教育訓練給付金(離職後1年以内・被保険者期間など要件あり)
- 専門実践教育訓練を受講し45歳未満・2027年3月31日以前など要件を満たすなら、受講中の生活費 → 教育訓練支援給付金(基本手当との同時受給は不可)
専門実践教育訓練を受講する場合(給付の組み合わせ)
専門実践教育訓練は教育訓練給付金(専門実践区分)の対象です。在職中であれば費用+休暇中の生活費、離職中であれば費用+受講中の生活費という組み合わせで受給できる可能性があります(各給付の要件をそれぞれ満たす場合)。
各給付の受給可否・申請時期・手続きの詳細はハローワーク(公共職業安定所)にご相談ください。特に教育訓練支援給付金は受講開始前の手続きが必要です。
よくある質問
- Q. 教育訓練給付金と教育訓練支援給付金は何が違いますか?
- A. 名前が似ていますが、まったく別の給付です。教育訓練給付金は「受講費用の一部を補助」する給付で、在職者・離職者どちらも対象(被保険者期間など要件あり)です。一方、教育訓練支援給付金は「離職中に専門実践教育訓練を受講している間の生活費を支援」する給付です。受講開始時に45歳未満であること、基本手当(失業給付)を受給していないこと、2027年3月31日以前の受講開始であることなどの要件があります。費用の補助と生活費の支援という目的の違いを覚えておくと整理しやすいです。
- Q. 在職中に学ぶときに使える給付は何ですか?
- A. 在職中の場合、「受講費用の補助」として教育訓練給付金(雇用保険の被保険者期間などの要件あり)が使えます。さらに、在職したまま就業規則・労働協約等の制度に基づく無給の教育訓練休暇(連続30日以上)を取得して学ぶ場合は、2025年10月創設の教育訓練休暇給付金によって「学んでいる間の生活費」の支援も受けられます(被保険者期間5年以上などの要件あり)。費用の補助と生活費の支援を組み合わせて活用できる可能性があります。
- Q. 離職中に学ぶときに使える給付は何ですか?
- A. 離職後1年以内であれば、「受講費用の補助」として教育訓練給付金が使えます。さらに専門実践教育訓練を受講し、45歳未満・基本手当の受給なし・2027年3月31日以前の受講開始など要件を満たす場合は、教育訓練支援給付金によって「受講中の生活費」の支援も受けられます。ただし教育訓練支援給付金は基本手当と同時に受け取ることができないため、ハローワークで受給パターンを事前に確認することをお勧めします。
- Q. どんな講座が給付の対象になりますか?
- A. 給付によって対象となる訓練の範囲が異なります。教育訓練給付金は厚生労働大臣が指定した教育訓練講座(一般・特定一般・専門実践の3区分)が対象で、指定講座は「教育訓練給付金・支援給付金等 受講者向けサービス(厚生労働省)」で検索できます。教育訓練支援給付金は教育訓練給付金の専門実践区分の講座を受講する離職者が対象です。教育訓練休暇給付金は対象範囲がより広く、教育訓練給付の指定講座を実施する施設が行う教育訓練に加え、学校教育法に基づく大学・大学院・専修学校等での講座なども含まれます(専門実践に限られません)。受講前にハローワークで訓練前キャリアコンサルティングを受けることが一部の給付で必要なため、事前に確認してください。
出典・参照情報
本記事は以下の公式情報をもとに作成しています。法改正により制度内容が変わる場合があります。最新情報は各機関の公式ページでご確認ください。
- 厚生労働省「教育訓練給付制度」(一般・特定一般・専門実践の3区分の説明)
- 厚生労働省「教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)」リーフレット
- 厚生労働省「教育訓練支援給付金について」
- 厚生労働省「教育訓練休暇給付金について」(2025年10月創設)
- ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金・支援給付金等 受講者向けサービス」
- 雇用保険法(昭和49年法律第116号)・同法施行規則
免責事項
本記事は各制度の一般的な概要を説明することを目的とした参考情報です。個別の支給可否・支給額・給付日数を保証するものではありません。実際の支給はハローワーク(公共職業安定所)の審査により決定されます。最終的な確認は公式窓口でお願いします。制度は法改正により変更されることがあります。特に、教育訓練支援給付金は時限措置であり、条件が変更または廃止される場合があります。